Diary Blog of Dary

temtanが書いた文章

馬鹿にしていた夢

実は、以前はある種の夢を馬鹿にしていた。それは「あったかい家庭を築く」とか「家族団欒で暮らしていく」とか、まあそんな感じの夢。なんで馬鹿にしていたかと言うと、そんなに難しいことじゃあないと思っていたからだ。
自分が生まれた時は両親が居た。年老いてきたが今でも健在だ。物心ついた時は既に家族仲良くなんて当たり前だったから、あったかい家庭を築くとか、当たり前に感じていたし、まあ、そう難しいことではないと思っていた。特に理由も無く、20代前半で結婚して子供も居るというのを想像することもあった。
学校や会社の研修でお互いの夢を語るようなことがあった。その時にも何人かはそういう夢を語っていたと思う。本気で馬鹿にしていた訳ではないが、なんというか多くの人が叶えられるような夢だよなあと思っていた。特に覚えているのは会社の研修で自分と同年代で夢を叶えた人が居た。その時は既に非モテ意識はあったものの、まだ俺にだって全然不可能じゃない意識があった。
しかし、いつからだったろうか。年齢を重ねてから色々と気付いた事がある。実は自分家族はあまり仲が良いとは言えないように感じてきた。自分には姉が 2 人居るのだが、自分はそれらと仲が良くなかった。決して悪いわけではないが、姉弟かと思うほど相互不干渉である。その2人の姉の仲は実は悪い。上の姉が下の姉を疎ましく思っているようだ。実は下の姉は精神的に病んでいるらしいのだが、上の姉はそうなる以前かららしい。母親も下の姉のことをあまり良く思っていないようなことを言っていた気がする。
考えてみると自分の両親も仲が良いのだろうか。子供のころから「ラブラブ」なところを見た覚えがない。口喧嘩みたいなのもあるが、それ以前に会話自体が少ない。特に父親が無口過ぎる。まあ、この辺は長年連れ添ってきた相手なのだから自分にはわからないものがあるのかもしれない。けれでも、やはり両親は相互不干渉な面が見受けられる。それが原因の齟齬なども結構ある。
あるとき、上の姉に言われた事がある。それは「うちの両親は結構変だよ」と。上の姉は20代前半で結婚して出て行ったのだが、他の家庭と比べてうちの両親は結構放って置くらしい。確かに中学生以降は誕生日に何かした覚えが無い。
そういったことを考えているうちに一つの考えが浮かんでくる。「実は自分の家庭はあまり良くなかったのか?」と。自分では普通と思っていたことが実は良くなかったのだと。そうなってくると、先の夢の件を全く馬鹿にできなくなってしまい、自分の願望にもなっていく。
しかし、結婚を女性と付き合うことの延長として捉えた場合、それは自分の場合、絶望的だ。正直この歳になるまで女性と付き合った事が無いとは思わなかった。全然、あの夢を馬鹿にできない。馬鹿にできないどころか自分にとっては夢のまた夢になってしまった。まさかここまで難しいことだったなんて。